2021.08.27 17:00
映画で学ぶ統一原理 23
(この記事は、『世界家庭』2020年9月号に掲載されたものです)
ナビゲーター:渡邊一喜
『グローリー』
1989年。122分。
真の自由のために命を懸けて戦う黒人部隊に、ヨシュア率いるイスラエル民族の姿が重なる
復帰摂理を見渡すとき、国を探し立てる摂理と聞いて、まず思い出すのはモーセ路程だろう。今回は、現在のアメリカを形づくった南北戦争を題材とする映画から、モーセ路程を考えたいと思う。
紹介する映画は、1989年公開の『グローリー』である。エドワード・ズウィック監督、マシュー・ブロデリック主演による、戦争映画の傑作である。
1861年、かのリンカーンがアメリカ大統領に就任。当時のアメリカでは、奴隷制度をめぐり、激しい論争が巻き起こっていた。アメリカ北部の州は奴隷制度を認めない「自由州」であり、南部は奴隷制度擁護派の「奴隷州」であった。リンカーンは奴隷解放論者として大統領選に臨み、勝利を収める。
しかし、このことにより南部の奴隷州はアメリカ合衆国から離脱し、「アメリカ連合国」を名乗るようになる。
そして最終的には奴隷解放を望む北軍と、奴隷制度を守ろうとする南軍とが、アメリカを二分して戦う「南北戦争」に発展していった。
映画『グローリー』は、この南北戦争を戦った北軍の黒人部隊の物語である。彼らは第54マサチューセッツ志願歩兵連隊であり、アメリカにおいては初めての黒人部隊である。
彼らのリーダーを務めるのはロバート・グールド・ショー大佐(マシュー・ブロデリック)である。54連隊の隊員たちは、ショー大佐と彼の友人である一人の少佐を除き、全員が黒人であった。
黒人奴隷の解放をうたう北軍にあっても、黒人が白人と同等の能力を持っていると考える人は少なかった。その中で彼らは厳しい訓練に耐え、人種の壁を越えて一つになり、アメリカの真の自由のために命を懸けて戦うのである。
私は、この作品を見るたびにヨシュア記を思い出す。南軍から言い渡された皆殺し宣言に対し、誰一人として部隊から降りようとしない決意。難攻不落のワグナー要塞に特攻を仕掛ける前夜、火を囲みながらゴスペルに乗せて神に決心を祈るその充実。その精神は気高く、神聖である。
モーセの死後、その使命を継承したヨシュアと、そのヨシュアに忠誠を誓って戦うイスラエル民族に重ならないだろうか。
国家の復帰を目指す私たちにとって、モーセ路程はその歩み方の原型とも言えるだろう。特に二世圏の歩みとしての「ヨシュア」を学ぶうえで、『グローリー』は多くのことを教えてくれるはずだ。
(『世界家庭』2020年9月号より)
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