2021.08.09 17:00
コラム・週刊Blessed Life 179
希望と連帯と平和の東京2020オリンピック幕を閉じる!
新海 一朗(コラムニスト)
2021年7月23日に開会を宣言し、8月8日に閉会式をもって幕を閉じた東京2020オリンピックは、IOC(国際オリンピック委員会)トーマス・バッハ会長の閉会式の言葉によれば、「希望と連帯と平和」のオリンピックであったということです。
人類が新型コロナ・パンデミックを経験する最中でのオリンピックという異常な事態を世界が見つめる中、世界から集まった選手団と関係者たち、そして主催国となった日本側の準備と開催への意志が、多くの困難にもかかわらず、一点に結集し、東京オリンピックは無観客試合というハンディをはねのけて、大きな成功を収め、閉幕しました。
バッハ会長が、「東京ありがとう、日本ありがとう」の言葉を閉会式で語った時、この17日間、オリンピックをテレビやネットで見てきた日本および世界の人々が、心から拍手を送ったことでしょう。
それはまさに、「そのとおりだ。東京はよくやってくれた。日本は本当によくやってくれた」ということへの選手たちと世界からの熱い思いです。とりわけ、バッハ会長はその思いを強くしたことと思います。
振り返ってみれば、日本が獲得したメダルの総数は58個に達し、中でも金メダルの数が27個という結果になったその活躍ぶりは、多くの日本国民が予想もしなかったことだと思います。
金メダルで言えば、アメリカが39個で1位、中国が38個で2位、日本が3位につけたわけです。この堂々たる3位は、オリンピックを目指して頑張ってきた選手たちの努力の賜物であると同時に、日本に対する神の祝福でもあったと思わざるを得ません。
オリンピック競技は、基本的には若者、言い換えれば、二世によるスポーツの祭典です。集まった世界の若者たちがスポーツを通して競い合い、優劣を決する場でありながら、競技を終えたら、お互いに抱き合い、たたえ合い、和合する平和の祭典です。
政治や経済では実現し難い平和を、スポーツで実現するという目標が、オリンピック精神の中にはあります。
8月1日に行われた男子走り高跳び決勝で、カタールのムタズエサ・バルシムとイタリアのジャンマルコ・タンベリは2メートル37まで共に一回で成功、2メートル39は共に3回とも失敗。このように試合の失敗内容が全く同じ場合、決着するまで1回ずつ跳躍する「ジャンプオフ」で勝敗を決する決まりですが、競技者がこれ以上、競技しないと決めた場合には、同成績で1位となると定められており、その規定とおりに、二人は金メダルを分かち合いました。すなわち、金メダルが二人誕生したのです。
こういう美しい場面が展開されました。
野球では日本が米国を下し、金メダルに輝きましたが、女子バスケットでは米国に75-90で敗北を喫しました。女子ゴルフでは、アメリカのネリー・コルダが(-17)、日本の稲見萌寧が(-16)で、米国の金となりました。こういう日米決戦になったときなども、金、銀どちらになってもお互いを尊敬し、たたえ合う光景が見られました。
バッハ会長が言ったとおり、「連帯と平和」が随所に見られたのです。
残すパラリンピックまでもうひと頑張りです。オリンピック、パラリンピック、二つの偉大な祭典を無事に成し得たとき、日本は世界から称賛と栄誉を与えられるでしょう。