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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

第11回 高齢者福祉編⑩
病院で行っていたようなリハビリを継続して行うことはできるのでしょうか?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 今回は、「先日、母が退院してきたのですが、まだ身体の状態が万全ではありません。病院で行っていたようなリハビリを継続して行うことはできるのでしょうか?」という質問です。

 病院を退院したばかりだと、身体機能がまだ回復していないこともあり、日常生活の中でご本人もご家族もストレスを抱えてしまうということがあるでしょう。
 かと言って、ご本人やご家族だけでリハビリを行い、機能回復を図るというのも限界があるように思います。

 退院した後にリハビリを行う方法には、以前ご紹介した訪問リハビリもありますが、「通所リハビリ」とも呼ばれる「デイケア」を利用するという方法もあります。

 デイケアは、療養・退院後の機能回復のために、医療施設や介護老人保健施設に通い、医師の指示のもと、専門職によるリハビリを受けることができるサービスです。

 リハビリには理学療法、作業療法、言語聴覚療法などがあり、それぞれの療法を行う資格者として理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士がいます。

 まず理学療法は、日常生活に必要な基本動作についての機能維持・回復・予防を図る訓練で、具体的には運動療法や温熱・寒冷・電気などの物理療法、体操などを行います。

 作業療法は、日常生活のより応用的な動作の訓練です。
 精神・認知を含む心身機能の訓練や入浴・トイレ・家事などの練習、さらに地域活動への参加や就労などの社会的適応能力の向上を目指したアプローチも行います。

 言語聴覚療法は、言語によるコミュニケーションに問題があるかたに対しての発声・発話の訓練や、食事をうまく飲み込むための嚥下(えんげ)の訓練を行います。

 以前、デイケアと名前の似たデイサービスについてご紹介しました。

 デイケアもデイサービスも、どちらも自宅から通って受けるサービスですが、デイサービスが自立した日常生活を送るための支援をさまざまな形で行うのに対し、デイケアは専門的なリハビリをすることが中心となります。

 デイケアとデイサービスは目的が違うため、そこに常勤しているスタッフにも違いがあります。

 デイサービスの場合は介護士や看護師、機能訓練指導員、生活相談員などがスタッフをしていますが、デイケアの場合は介護士や看護師に加え、医師やリハビリ専門職が勤務しています。

 「医師が常勤している」ということがデイケアの特徴で、そのことによって医師の指導に基づいた専門的なリハビリを受けることができ、医療的なケアを受けられるのです。

 最近は、デイサービスでも身体機能訓練に力を入れ、リハビリに特化した施設が出てきました。
 そういう意味では、デイケアとデイサービスの違いが曖昧になってきた部分もあるかもしれませんが、やはり医療ケアが必要な人にとっては、医師が常勤し、その指導のもとにリハビリを行えるかどうかは重要な要素だと思います。

 実際、どちらを利用すべきかは、主治医やケアマネージャーに相談したり、家族で話し合ったりして判断されたらよいでしょう。

 最初はデイケアに通い、医療ケアが必要のないところまで回復したらデイサービスに切り替えることもできますし、場合によってはデイケアとデイサービスを併用することもできます。

 なお、デイケアを利用するためには、訪問リハビリと同様、主治医の指示書が必要となります。

 デイケアの利用を考えているかたは、まずケアマネージャーに相談してみましょう。