親育て子育て 3
いじめの相談、対応の仕方

(APTF『真の家庭』173号[2013年3月]より)

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ジャーナリスト 石田 香

我が子がいじめにあってもあわてずに、解決に向けて家族で本気で取り組もう

子供を安心させる

 我が子がいじめに遭った場合、大切なのは、親が子供を守る姿勢をはっきり見せることです。そして、まずは子供が安心できる環境を作ってやります。不安で登校できないなら、事情を担任に話して休ませます。

 でも、子供は普通、学校に行きたいと思っているので、親が付いて行ったり、近くで授業を見ていたりします。クラスに入ることが難しい場合は、校長室で個別に教えてもらったり、保健室にいたりします。その点は、これまでの経験を踏まえ学校で対応してくれます。

 担任や校長、保護教員、スクールカウンセラーなどで対応できればいいのですが、そこで納得できないと、外部のカウンセラーなどに相談することがあります。相談する相手も人間なので、次のようなことに留意します。

 守るべきは親や学校ではなく、子供であること。そのためには、子供の心の状態を正確に知り、それを親が支えられるようにすることです。

 中には、相談しているうちに、親の子育てが間違っていたからいじめが起きたと思わせるような人もいます。そうでなくても、自分の責任を感じている親は、そう言われるとますます落ち込んでしまいます。

 自分がそうなっているなと感じたら、すぐに相談相手を変えることです。別の医師にセカンドオピニオンを求めるのと同じです。子供を守るのは親ですから、親を元気にさせないような人は、いい相談相手ではありません。

 子供を学校に行かせず、家に引きこもるような方向に指導する人も問題です。子供は基本的に、学校で楽しく遊んだり、勉強したりしたいと思っているのですから。

 第三者に相談するのは、親は我が子を正確に見ることができないからです。優秀なカウンセラーも自分の家族のカウンセリングはできません。経験ある人に、子供の状況を詳しく伝え、子供が今どんなことを考え、これからどうしようと思っているか、判断してもらうのです。

 親が子供第一に行動するのを覚悟し、それを子供にも話して安心させること、できれば一緒に登校し、いじめっ子を含めクラスの友達にも、親の決意を示すことが、いじめ解決の始まりです。

いじめのない学校づくり

 子供がいじめに遭った親が学校や教育委員会に申し入れても、なかなか動いてくれないことがあります。そんな場合は、最上位の都道府県の教育委員会に訴えるのが一つの方法です。トップから指示が出ると、現場の学校では解決しようとします。

 個人では学校の対応が鈍いので、PTAとして学校に働き掛けることも有効です。議員など有力者に協力を求めるのも、学校を動かす一つの方法です。

 いずれにせよ、人任せにしないで親が本気で取り組むことです。子供は、親が自分のためにどう動いてくれるのかを見ています。

 学校や教室からいじめをなくそうと思えば、いじめの実態を、行政や教育委員会、PTA、教職員、生徒たちにはっきり示すことです。いじめている子やそれを見ている子供たちには、いじめがあれば学校は校長以下全職員が真剣に解決に取り組むという意思表示で、校長やPTA会長など、責任ある人たちが先頭に立つことが必要です。

 逆にいじめを隠すと、「いじめをしてもいい」という間違ったメッセージを子供たちに送ることになります。

 もっとも、そうしたことは対症療法で、本当に解決するには根本的な取り組みが必要です。自由に話ができ、失敗しても許され、自分で気付いて直すまで見守ってくれるように、学校を安心で楽しい場にすることで、それに保護者も協力するようにします。

 子供は集団の中で遊びながら育っていくものです。上級生が分からないことを教えてくれたりして、いろいろなことを覚えていきます。言葉で学ぶのではなく、実際に体験することで、貴重な教えが身に付きます。

 子供は暴力を振るうのがいけないとは思っていません。赤ちゃんの頃から、自分の欲しいものを手に入れるためには、全力を発揮してきたのですから。男の兄弟がいると、本気でけんかしたりして、どの程度までの暴力は許されるか、これ以上やると危ないなということを経験的に学習し、自制を覚えます。

 ところが、少子化や独り遊びが増えたため、今の子供たちにはそんな集団が少なくなっています。だから、少し乱暴にされるといじめられたと敏感に感じてしまうのです。

 家庭で兄弟が減り、地域で子供が減っている今、子供たちが集団で自由に遊べる場所を作るのは、学校が最適です。大人たちは、最低限の安全が確保できるよう見守るのが役目です。