2021.05.28 17:00
映画で学ぶ統一原理 20
(この記事は、『世界家庭』2020年5月号に掲載されたものです)
ナビゲーター:渡邊一喜
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
2017年。136分。
宇宙を創造した種族である「エゴ」の姿を通して、神が被造世界を創造された動機に思いを巡らす
「神は自ら創造された被造物が、……善の対象になることを願われたのは、神がそれを見て喜ばれるためである」(『原理講論』64ページ)
「創造目的」は、文字どおり神の被造世界創造の目的、および人間の生の目的について言及している箇所である。「創造原理」の中心部分と言うことができるだろう。
今回は、神の創造の動機を考えさせてくれる作品。マーベルシリーズの一つで、2017年上映の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(ジェームズ・ガン監督、クリス・プラット主演)である。
前作で、惑星滅亡をもくろむテロリストを阻止した、はぐれ者の5人(主人公はリーダーのピーター・クイル)は、その活躍をもって宇宙に名を知られるようになった。
ある日、任務における不手際から追われている折、彼らは一人の壮年により、その危機から救われる。「エゴ」と名乗るその男性は、自身がピーターの父親であることを明かした。父親の突然の登場に戸惑うピーターだったが、行動を共にしながら次第に心を開いていく。しかしエゴには宇宙の命運を左右するほどの大きな目的があった……。
主人公の父親であるエゴという存在に注目したい。作中では、エゴは天界人という、宇宙を創造した種族となっている。正に天地創造の神になぞらえて作られたキャラクターなのである。
彼にとって他の生命は家畜かペットのようである。それをめでるような情は持っているが、自身の目的遂行は他の生命の価値に勝ると純粋に考えているのである。正にエゴという名前が示すとおり、「自己愛」の権化だ。
このエゴという存在、一見とんでもない存在のように映るが、「原理」の「喜びのために創造する神」に、このような姿を一度は重ねたことがないだろうか。
神の創造の動機が真の愛でなければ、その存在はどこまでもエゴイスティックな暴君になってしまう。しかし、「原理」が語る神の愛とは、決して自己愛ではない。それは真の愛であり、真の愛は神をも規定する天宙の大原則なのである。
エゴの姿は、人間が神学的に問い続けてきた創造主に対しての回答だと言えるだろう。しかし「原理」は、真の愛をもって、それを否定する。真の愛とは絶対利他の原則に貫かれているのである。
この作品を通じて、創造目的と真の愛についてもう一度考えてみよう。家庭とは、親子とは何かを深く考えさせてくれる良作である。
(『世界家庭』2020年5月号より)
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