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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

第4回 介護保険制度とはどのような制度なのでしょうか?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 今回は、「介護保険制度とはどのような制度なのでしょうか?」という質問です。

 介護保険制度は、自分の老後や家族を介護することになった時に本人の自立支援と介護者の負担軽減のサポートをしてくれる心強い存在です。

 介護は突然始まります。「自分にはまだ関係ない」「両親はまだ元気だから大丈夫」と思っていても、いつ介護が必要になるかは分かりません。

 早めに対応することによって介護する側もされる側も負担を減らすことができるかもしれないので、前もって介護保険制度の内容を知っておくことは重要です。

 まず、介護保険制度が始まった背景について説明します。
 ご存じのように、日本は急速な高齢化とともに介護の必要な高齢者が増加し、介護状態の重度化、長期化が進むようになりました。

 それと同時に、介護する側の家族も高齢化や核家族化が進み、家庭内で介護をすることが困難になるということが以前から予想されていました。
 そこで国は、平成12年に介護の必要な人を社会全体で支え合う制度として介護保険制度を開始したのです。

 介護保険制度は、全国の市町村および特別区が運営者(保険者)となり、その地域に住む40歳以上のかた全員が加入者(被保険者)となって保険料を負担します。介護が必要と認定された場合、費用の1割(年収によっては23割)を自己負担して、介護サービスを利用できる仕組みになっています。

 介護サービスの費用の9割(年収によって78割)は介護保険の財源によって賄われます。財源の50%は被保険者の納めている介護保険料で、残りの50%は税金によって支えられています。

 介護保険制度は40歳になった月から加入することになり、その時点から保険料の支払い義務が生じます。

 65歳以上のかたは第1号被保険者、40歳以上65歳未満のかたは第2号被保険者と呼ばれ、両者は保険料の納付方法が異なります。

 第1号被保険者のかたは年金から天引きされる「特別徴収」になります。ただし、年金が年額18万円に満たないかたと、年度途中で65歳になったかたは「普通徴収」となり、納入書か口座振替で支払うことになります。

 健康保険に加入している第2号被保険者のかたは健康保険料と一緒に天引きされ、国民健康保険に加入しているかたは、世帯主が国民健康保険料に上乗せして支払います。

 金額は居住している自治体によって変わり、第2号被保険者の場合は、入っている健康保険によっても金額が変わります。

 介護保険料は、特別な事情がないにもかかわらず納めていない場合は、滞納した期間に応じてペナルティーが課せられ、いざ介護が必要になった時に適切な介護サービスを受けにくくなります。

 「介護サービスを利用するつもりはないので、保険料を払いたくない」と考えるかたもいらっしゃるかもしれませんが、社会保険の一つである介護保険は国が実施する強制加入の社会保障制度です。

 国民の介護の負担を社会全体で支えるという相互扶助の理念の下に介護保険法で定められたものですから、任意で脱退することはできません。

 自治体が保険料の額を決定する際には、個々の所得や課税状況が反映されます。

 決められた介護保険料は納付すべきですが、さまざまな事情でどうしても支払いが困難な場合には、早めに市区町村の介護保険担当窓口に相談してみてください。

 一定の要件に該当すれば、介護保険料の減免や猶予を受けられることもあります。

 また、介護サービスを利用した際、自己負担額が限度額を超えた場合は「高額介護サービス費」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」などの負担軽減制度もありますので、まず窓口に問い合わせられたらよいと思います。