歴史と世界の中の日本人
37回 手塚治虫
人類の未来社会を描いた日本人

(YFWP『NEW YOUTH』195号[2016年9月号]より)

 もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
 「歴史と世界の中の日本人」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

 21世紀に入り、驚異的な技術革新の伸展、最先端の科学技術によって人型ロボットが飛躍的に進化を遂げている。

 コミュニケーションロボットが一般の家庭にも普及し始め、2016年は「ロボット元年」ともいわれている。

 人型ロボットの元祖とも言える存在は「鉄腕アトム」であろう。
 手塚治虫(19281989)の比類なき想像力によって生み出されたキャラクターとストーリーが人型ロボットの研究・開発の分野に与えた影響は計り知れない。

▲手塚治虫(ウィキペディアより)

 国内外問わず、人型ロボットの研究者たちのイマジネーションの原点には「鉄腕アトム」が生き生きと存在している。

 手塚が見せてくれた人間とロボットとのコミュニケーション、ヒューマンドラマは、今や絵空事などではなく、現実のわれわれの生活の中で起こり得る近未来の日常となりつつあるのだ。

 手塚は存命中から「マンガの神様」と評された。
 手塚の影響を受けた漫画家は少なくない。

 藤子不二雄もその一人(二人)である。
 彼らもまた、多くのロボットキャラクターを生み出した。
 代表的なキャラクターである「ドラえもん」は今や世界中の子供たちに夢を与えている存在となった。

 リオ五輪閉会式での日本の演出。
 ドラえもんがポケットから土管を出すとリオの閉会式会場中央に土管が出現。
 土管の中を通って会場に現れたのは何と赤い帽子を被ったマリオ姿の安倍晋三首相。
 日本のアニメキャラクターたちがまさに日本の文化とテクノロジーの象徴としてその存在感を表した格好だ。

 鉄腕アトム誕生から65年、アトムに憧れてロボット開発を目指した研究者・開発者は少なくない。

 人間とロボットの共存の研究を重ねてきた、大阪大学大学院工学研究科教授の浅田稔氏はこう語った。
 「最新テクノロジーAI(人工知能)の技術や脳科学、心理学の知見を合わせると、必ずや鉄腕アトムに代表されるような人間のような心を持つロボットが出て来る日も近いと思います」

---

 次回(4月15日)は、「喜劇王の絶大な信頼を得た日本人」をお届けします。