2021.03.18 17:00
歴史と世界の中の日本人
第34回 自然と共に生きてきた日本人
世界が驚き、称賛する日本の国民性
もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
「歴史と世界の中の日本人」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
2016年4月14日に最初の震度7を観測した熊本地震。
1カ月以上が過ぎた今も、大小の余震が続いている。
熊本県内の避難者は最大で約18万3000人に上った(熊本県災害本部発表)。
「自然災害大国」といわれる日本。
わが国の歴史は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火といった、文字どおり、自然災害と共にあった。
2011年3月11日に発生した東日本大震災。
巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部は壊滅的な損害を被った。
千年に一度ともいわれる規模の巨大地震によって被災した日本の様子はすぐに海外に発信され、世界中がその惨状に驚愕した。
しかし、海外のメディアは未曾有の大災害を伝えるだけではなかった。
「厳しい状況でも、パニックに陥らず、社会秩序を守り、辛抱強く、整然と、助け合う」「非常事態の混沌とした市街地でも盗難や強盗が発生しない」「被災地への支援の手を差しのべる全国的な連帯」「被曝や余震リスクを承知で支援・復旧活動にあたる関係者や市民たち」など、海外メディアは、大規模の災害にあっても秩序を失わず、冷静に行動する日本人の姿を、驚きと称賛をもって伝えたのである。
では、世界の人々は何に共感したのか?
「協調性、社会秩序を守る姿」「冷静さ、忍耐心」「助け合う心」「分かち合う心」「寄り添う心」「互いを思いやる心」…。
わが国自体においても、国民性としての互助の精神や和の精神というものに改めて目が向けられ、日本の歴史、伝統、文化への関心が高まった。
日本人と自然の関わりは深い。
災害という面だけでなく、日本の伝統や文化、日本人の精神性や国民性を論ずるとき、自然との関わりというファクターは極めて重要な視点である。
被災による苦痛や困難は望むべくもないが、そこから生じた価値観や意識、発想、さらには知恵や技術は、われわれ日本人の底力として、強みとして、特性として、これからの世界、グローバル社会において生かされるものとなるであろう。
---
次回(3月25日)は、「西洋に影響を与えた日本人画家」をお届けします。