2021.02.18 22:00
心のあり方 9
韓流ドラマ『ピアノ』
もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
『文鮮明先生の自叙伝に学ぶ~心のあり方』を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
なお、この記事に記載されている「自叙伝『平和を愛する世界人として』」のページ数は創芸社出版のものです。
浅川 勇男・著
第二章 愛の刀で苦悩を断ち切る
韓流ドラマ『ピアノ』
さて、真の愛を彷彿させる韓流ドラマがあります。『ピアノ』といいます。キリスト教の「汝の敵を愛せよ」がテーマとなっています。このドラマを見ると、真の愛がよく分かります。
あるヤクザがいました。それもヤクザ連中から軽蔑されるほど卑屈で根性のねじれた男です。年老いた屋台の老人からお金を平気でむしり取ります。泣きすがっても無慈悲に蹴飛ばしてしまいます。全く良心の呵責(かしゃく)を感じません。地面に落ちた小銭もなめるように掻き集めます。恥を知りません。人々から「犬畜生」と罵(ののし)られても気にしません。挙げ句の果てに子供の小遣いまで取ってしまいます。血も涙もない悪党なのです。
ところが、その男がある女性と相思相愛になります。その女性は、未亡人で子供が二人いました。娘と息子です。女性はピアノ教室を運営して子供を養っていました。
気立てが良く慈悲深い女性でした。女性はこの畜生にも劣る(動物に失礼ですが)男性を愛して更生させたのです。ヤクザは妻の愛によって本性が蘇(よみがえ)り、まともな男になりました。
しかし、長男は納得しません。亡きお父さんを深く愛し尊敬していたからです。なぜ、「よりもよって、お母さんはヤクザの男と再婚したのか……」、全く理解できませんでした。「きっと男にだまされたに違いない」、そう思って男を憎んでいたのです。
そして、悲劇が起こります。結婚記念日に夫婦で海に出かけ、不慮の事故で女性が水死してしまったのです。子供は、男が「お母さんを殺したのだ」と決めつけました。激しく男を憎悪し家を出てしまいます。そして、非行に走り、ついにヤクザになってしまうのです。男は何度も子供に愛の手を差し伸べますが、受け入れてもらえません。行くたびに激しく罵られ、罵倒されます。学校を退学されそうになったとき、地べたに頭をつけて校長に謝ったこともあります。できる限りのことをしたのです。亡き妻への思いがそうさせたのです。
「たとえ、血のつながりがなくても、妻の子を実の子として愛したい」、その思いで尽くそうとしたのです。しかし、全く実りませんでした。やがて彼は愛することに疲れ果ててしまいます。心は傷だらけになり、満身創痍(そうい)になりました。
そんなある日、打ちひしがれて坂道を上っていくと、懐かしいピアノの音が聞こえてくるではありませんか。それは、聞き覚えのあるピアノ曲でした。妻の大好きな曲だったのです。彼は、その家の門を開けてみました。ピアノの音が止まり、美しい女性が出てきました。彼は、その女性に自分の悩みを打ち明けました。女性は熱心なクリスチャンだったのです。女性は言いました。「それなら、教会の礼拝に参加して、イエス様の教えを聞いてみたらどうですか」。
彼は、生まれて初めて礼拝に参加しました。そして感動したのです。イエス様は罪を犯した者を裁かず、むしろ、彼らを救うために、自分の命を捧げたのだ……。
「人が友のために命を捧げること、それ以上の愛はありません」。
彼は悟りました。「自分は精いっぱい、妻の子供を愛したつもりだったが、それは、十分ではなかった。自分の命までは懸けていなかった。本当の愛ではなかったのだ……」。
その時から、彼は何度子供から拒否されても、不安や恐れを抱かなくなったのです。真の愛が、恐れをなくしたのです。
子供から何度罵倒され殴られても、彼は傷つかなくなりました。「断るなら何度でも断れ、でも俺はお前を愛している。何も恐れないぞ……」。彼は涙を流して訴え、愛し続けました。
やがて、事件が起きます。子供はヤクザの抗争に巻き込まれ、一発の銃弾が打ち込まれます。その場に居合わせた父は何の躊躇(ちゅうちょ)もなく子供の前に飛び出していきます。そして、銃弾に当たりました。彼は血を出して倒れます。既に意識不明になりつつあり、息は途絶えようとしています。子供はその時初めて気がついたのです。男は本当の愛で愛していたことを……そして、男が命を懸けて聞きたかった言葉をかけてあげるのです。
「お父さん、お父さん、死なないでください……」。
初めて聞く「お父さん」という言葉を聞いて、男は満たされたように息を引き取っていきます。子供は、男の命を懸けた真の愛によって更生したのです。
後日、子供はピアノの先生にお礼をするため坂道の家を訪ねました。懐かしいピアノの音が聞こえてきます。幼い頃、母親がよく弾いていた曲です。玄関の扉を開いてみました。同時にピアノの音は止まります。しかし、不思議なことに、家には誰もいなかったのです。それどころか、空っぽでした。数年来、この家には人は住んでいなかったのです。では、あのピアノを弾く女性は誰だったのか? ドラマはここで終わります。
文鮮明先生は真の愛について語られています。
真の愛とは、自分の命までも捨てることができるものです。そこにはいかなる計算もありません。母鳥が命を捨ててまで雛を守ろうとするその心は、真の愛そのものです。父母はいくらつらくても愛の道を行きます。愛の前に自分の命を投げ出していくのが父母の愛であり、真の愛です。(自叙伝219ページ)
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次回は、「為に生きるのが宇宙の原理」をお届けします。